当事者の希望に伴走するためのメタバース (仮想空間)を活用した PX(patient experience)体験の実施

  本学会は、加賀市、国立大学法人静岡大学と自立共生支援AIを活用した健康長寿のまちづくりに関する連携協定をしております。認知症の人が住み慣れた地域で当たり前に暮らし続けるために、誰しもが、認知症の人が生活上の障害をどのように感じているのか知り、理解することがとても大切です。
 このたび、メタバースを活用して、認知症の人が体験している世界観(認知機能低下における生活障害の体験)を介護職、医療職が体験することで、更なるケアの質の向上に活かすため、3月15日、実証評価を加賀市役所の会場で実施しました。
 実証評価の内容は、VRゴーグルを装着し、6名が1グループとなり認知症本人が体験していることをメタバース(仮想空間)に入り体験するものです。国立大学法人静岡大学講師である石川翔吾氏の指導のもと、6名からなるセッションを4セッション行い、多くの介護関係者のほか、医療従事者にも参加いただきました。
 スープの上に虫が動いているオブジェクトや距離感の掴みにくい視覚情報の操作を体験してもらうと、皆さま自身の普段のケアと関連づけたり、「あの方は実はこういう見え方をしているからそういう行動をするのかも」といった率直な反応があり、実践に持ち帰っていただける場になりました。
 これからも、引き続きより優れた介護教育の場が創出できるように研究を進めるとのことです。なお、本実証評価に用いたVR・メタバースの作成は、みんなの認知症情報学会の賛助会員でもある株式会社アルファコードにより、メタバースプラットフォーム「VRider COMMS(ブイライダー コムズ)」の提供と認知症体験プラグインの実装が行われております。

「当事者の希望に伴走するためのメタバースを活用した PX体験デザイン」の説明資料

(参考)加賀市のプレリリース
https://www.city.kaga.ishikawa.jp/material/files/group/110/pxtaiken.pdf