[報告]介護機器開発やケア現場の事例から「本人視点」について考えるワークショップを開催しました

3月18日(木)、東京ビッグサイト青梅展示棟(CareCITY2021)において、介護機器開発やケア現場の事例から「本人視点」について考えるワークショップを開催しました。


講演
桐山伸也(静岡大学)
テーマ:「本人視点」の介護機器システムを創るには?
小川敬之(京都橘大学)
テーマ:認知症の人の困りごとを読み解く、、読み解けるか?!

ワーク・まとめ
川﨑一平(京都橘大学)、柴田健一(みんなの認知症情報学会)


 過去のワークショップ(東京CareWEEK2019CareTEX名古屋2019CareCITY2020)では、参加者と講演者が会場に集まり、ごちゃまぜで対話的にディスカッションを行うワークショップを開催してきました。2020年に入って新しい生活様式が浸透し、今回は新たなワークショップのスタイルで開催しました。

 講演者は遠隔地からZoomで参加し、小川敬之先生(京都橘大学)と桐山伸也先生(静岡大学)による挨拶と概要紹介から始まり、講演は事前に収録した映像、質疑応答はZoom、と「オンライン」と「オフライン」のまさにハイブリッド形式のワークショップをデザインしました。

 ワークでは、遠隔参加の川﨑一平先生(京都橘大学)の司会により、事者の「セーターを着ることができない」「座席に座ることができない」様子がわかる映像を紹介し、何が影響したのか、その要因を参加者が検討し、多様な意見が集まり盛り上がりました。

 会場の参加者はオンライン投票ツール(slido)を使い、コメントがスクリーンに投影することで、リアルタイムに全ての意見・コメントを共有しつつ、議論することができました。

 うまくできない時に仕切り直すことの必要性や、実際に寄り添って、その方の普段からの行動様式を理解してあげることが本当に意味のあるサポートをするための基礎となることなど、参加者に気づきを与える内容でした。

 最後に、あくまで一つの解釈として、作業療法士の観点から川崎先生が、情報学の観点から学会事務局の柴田が、事例に対する考え方やみんなでごちゃまぜに議論する意義について語りました。

 オンラインとオフラインを組み合わせた新しいハイブリッドスタイルによるワークショップに、これまでとは違う新たな可能性を感じていただいた参加者も多く、今後も参加者が満足するイベント企画を検討してまいります。

■ワークショップ参加者からの声(一部)

  • ・実際に認知症を発症した方ができなくなってしまったことをどのようにサポートしてあげることができるか、実際に寄り添ってその方の普段からの行動様式を理解してあげることが本当に意味のあるサポートをするための基礎となることがよくわかりました。
    また、仕切り直しの必要性についてとてもよくわかりました。
  • ・分かりやすく、とても勉強になりました。講演も含め、業務につながる気づきもありました。ありがとうございました。
  • ・非常に勉強になりました。同じようなケースをもう少し多く経験できると嬉しいです。
  • ・コロナ禍での開催でしたので、参加者はやはり少なめな印象でした。しかしながら、オンラインツールを駆使され随所に工夫もあり、距離感をあまり感じることなくワークショップに参加することができました。
  • ・瞬時にほかの人の意見、自分と違う切り口を目の当たりにして学習効果が上がると感じた
  • ・認知症の本人の様子を見て、何に困って行動できないのか読み解く事ができなかった。自分の観察力の弱さを感じた。セーターのケースで、最初の関りでセーターを着る事が出来なかったら、自分なら全介助してしまっていたと思う。OTの視点での支援やナラティブの意味が少し理解できた。slidoというアプリケーション?で参加者の意見が共有できる事、データの収集もできるという事が驚いた。
  • ・実際的でとてもよい勉強になりました。
  • ・いろいろな意見が聞けて良かったです。

 

[告知] 第3回年次大会をオンラインで開催

11月28日(土)、29日(日)に、オンラインで第3回年次大会(CIHCD2020)を開催します。
詳細は年次大会ホームページをご覧ください。
https://cihcd.jp/2020/

■概要
日時:   2020年11月28日(土) から29日(日)
会場:   オンライン
大会テーマ:リモートでもごちゃまぜ 〜コロナ禍で気づいたことをオンラインで語り合おう〜

大会長:橋田浩一(東京大学)
実行委員長:田中克明(コクヨ)

「みんなの認知症マガジン」2号を発刊しました

このたび、あらゆる人・世代の方に当事者意識が芽生える本「みんなの認知症マガジン」2号を発行し、会員の皆様へ発送しました。

今回の特集は「人も地域も元気になるまちづくり」として、みんながつながり、支えあう好事例を紹介しております。
この「みんなの認知症マガジン」を通して、みんなが当事者となって交流し、支え合うことの大切さを、家族や職場の方と一緒に考えていただけたら嬉しいです。

[報告] 機器システム高度化のための「エビデンスづくりワークショップ」を開催しました

2月13日(木)、東京ビッグサイト(CareCITY2020)において、当事者視点の介護機器システム高度化に向けた事例紹介とエビデンスづくりのワークショップを開催しました。


第1部 ガイダンス
当事者視点の介護機器システムに関連した賛助会員からの取り組みの紹介
当事者重視の自立共生支援AIのワーキンググループの概要と紹介

第2部 グループワーク
前半:当事者個々のニーズ達成に向けた課題の共有と形成
後半:課題解決に関わる研究開発の項目を検討
まとめ


第1部ガイダンスでは、3名の賛助会員・学術会員による介護機器システムに関連した取り組み紹介と、モデレータの桐山伸也さんからワーキンググループを紹介いただきました。
取り組み紹介では、佐藤武さん(FUJI)、田中克明さん(コクヨ)、石川翔吾さん(静岡大学)から、当事者視点の介護機器システムに関する製品、研究開発、および活動についてお話しいただきました。

第2部グループワークでは、まず過去開催したワークショップ(2019/8/7名古屋2019/12/21京都)の内容をもとに、当事者個々のニーズ達成に向けた課題を振り返りました。その後グループに分かれてワークを行い、前半では、当事者の視点に立ってあるべき姿と現状を考え、そのギャップから抽出した問題を踏まえた目標(ゴール)を設定した上で、目標を実現するための課題を抽出しました。
後半は、前半で議論した内容をもとにグループを再編し、下記5つの課題に対するAIやIoTなどの技術を活用した研究開発に関して検討しました。

  • ・外出生活支援、ナビゲーションシステム(買い物など)
  • ・金銭管理、パーソナル情報DB
  • ・五感センシング
  • ・おすそわけマッチングサービス・本人のやりたいこと、好きなことの実現支援
  • ・聴覚支援システム(補聴器関係)、音声ナビ

介護機器システムに関係する企業の方を中心に、ワーキンググループ活動をベースに多様な立場の参加者がごちゃまぜで活発に議論することで、自立共生支援AIの研究開発・エビデンスづくりにつながる多くの知見が出ました。

□ワークショップ参加者からの声(一部)
・新しい考え方や自分にない視点の気づきにつながった
・ごちゃ混ぜのメンバーで、それぞれの立場と目線で意見が出たことで、良い機会が得られた
・社内や限られた業種のみのワークショップでは生まれないアイデアが創出されてごちゃまぜ感が満載の有意義な時間だった

2/13(木) 当事者視点の介護機器システム高度化に向けた事例紹介とエビデンスづくりのワークショップ

第2回年次大会を開催しました

9月7日(土)・8日(日)の2日間、川崎商工会議所に於いて「第2回年次大会」を開催しました。


テーマ:みんなごちゃまぜで考えよう~ホントにできる?自立共生支援AIによるまちづくり
大会長:加藤忠相・石山洸
実行委員長:髙瀬義昌
後援:川崎市・川崎商工会議所


多様な立場や専門家、当事者が参加し、様々な意見交換や交流があり、盛会のうちに終了することができました。

1日目の石山洸共同大会長(エクサウィザーズ)の講演では、自立共生支援AIと認知症情報学のこれまでの進展と今後の展開についての話があり、続くシンポジウム「つながり力を考える」では、岡田太造氏(元厚生労働省社会・援護局長、みんなの認知症情報学会)、竹島正氏(川崎市精神保健福祉センター)、沢井佳子氏(チャイルド・ラボ)よりそれぞれの立場から話題提供があり、孤立した人をつくりださないためには、専門職や家族以外の人達とつながることが重要であること、そのためにはどのような社会が必要になるのか考える場となりました。

ランチセミナーでは、橋田浩一副理事長(東京大学)から、個人情報の利活用に関するPLR(Personal life repository)の紹介がありました。

首藤義敬氏(株式会社Happy)の招待講演では、笑い溢れるお話は参加者の心をつかみ、「遠くのシンセキより近くのタニン」「一人のプロより百人の素人」という言葉からたくさんの想いが伝わり、自立共生支援AIに関するヒントが得られました。凝り固まった、こうでなければならないというケアやサポートのあるべき姿がかえって生きづらさを生み出していること、見方を180度変えて、発想を転換すれば、みんなが幸せに、笑顔になれる支え合いが生まれることを未だかつてない事例を持って示していただきました。

SIP「〝認知症の本人と家族の視点を重視する〟マルチモーダルなヒューマン・インタラクション技術による自立共生支援AIの研究開発と社会実装」の取り組みでは、石山洸共同大会長(エクサウィザーズ)、宮⽥裕章氏(慶應義塾⼤学)、桐山伸也氏(静岡大学)、小林美亜氏(静岡大学)よりそれぞれの立場からSIPの自立共生支援AIの研究開発の取り組みの紹介がありました。PDの安西祐一郎氏より、「みんな」というアプローチに関して評価いただき、「大切なことは幸福なことを考えることが大切である。個別の評価ではなく幸福な社会を構築するか考えることが大切だ。」とのコメントをいただきました。

ポスター発表では、多様性に富む、ユニークな演題が集まり、演者と参加者が交流を深めることができました。

2日目のシンポジウムでは、加藤忠相共同大会長(あおいけあ)、唐澤剛氏(慶應義塾⼤学)、小川敬之氏(京都橘大学)、坂口和也氏(ときわ会)より「CAREする街の賑わいづくり」に関する自身の取り組みの紹介がありました。個々の持っている力を引き出し、その力を思う存分に発揮できる環境を創ることが、いかに大切かを振り返りながら、実際にどんな仕掛けがつくれるのかを考えるためのヒントがたくさん散りばめられていました。

特別セッションでは、坂根裕氏(エクサウィザーズ)、石川翔吾氏(静岡大学)より技術的な側面に関する話がありました。時間を超過して白熱した議論が起こり、私達ひとりひとりが研究者という考え方、ごちゃまぜの討論がありました。AIに対するそもそもの疑問に丁寧に向き合い、AIを活用することに向けたこれからの課題が示されました。

ランチでは、上野秀樹副理事長(千葉大学医学部附属病院)から、みんなの認知症見立て塾の紹介がありました。

市民公開ワークショップでは、当事者の方々からいただいたやりたいことを踏まえ、やりたいことを実現するためには、どのようなアィディアが必要になるのか、型にはまらない自由な発想で盛り上がりました。

まさに、大会テーマ通り、みんなごちゃまぜで考え、次の課題を見出したところで、幕を閉じました。


【ご登壇者と演題】

9月7日(土)

<共同大会長講演>
「自立共生、みんなごちゃまぜ。どこまで進んだ、認知症情報学!?」
石山洸 (株式会社エクサウィザーズ・代表取締役社長)

<シンポジウム①>
「つながり力を考える」
岡田太造(みんなの認知症情報学会)
竹島正(川崎市精神保健福祉センター・所長)
沢井佳子(チャイルド・ラボ 所長)

<ランチョンセミナー>
「PLRの紹介」
橋田浩一(東京大学・教授)
※PLR

 

<招待講演>
「はっぴーの家ろっけんの活動紹介”現代版 大家族”の取り組み」
首藤義敬(株式会社Happy・代表取締役)

<特別企画>
「SIPの取り組み」 ※SIP
石山洸 (株式会社エクサウィザーズ・代表取締役社長)
宮田裕章(慶応義塾大学・教授)
桐山伸也(静岡大学・准教授)
小林美亜(静岡大学・特任教授)
安西祐一郎(慶應義塾・学事顧問)

9月8日(日)

<シンポジウム②>
「CAREする街の賑わいづくり ~CARE(気にかける)しあう居場所を考える~」加藤忠相(株式会社あおいけあ・代表取締役)
唐澤剛(慶応義塾大学・特任教授)
小川敬之(京都橘大学・教授)
坂口和也(社会福祉法人ときわ会・副理事長)


<特別セッション>
「自立共生支援AIの取り組み-AIは認知症の課題にどのように貢献できるのか?-」
石川翔吾(静岡大学・助教)
坂根裕(株式会社エクサウィザーズ・取締役)
橋田浩一(東京大学・教授)

<ランチセミナー>
上野秀樹(千葉大学医学部附属病院・特任准教授)
「みんなの認知症情報学会の見立て塾の紹介」

<市民公開ワークショップ>
「認知症のある本人の声を中心とした自立共生社会について考えるワークショップ」
鬼頭史樹(名古屋市認知症相談支援センター・主事)
田中克明(DFJI)
杉本一美(名古屋市認知症相談支援センター)
服部優香理(岐阜県作業療法士会)
山田真由美(あゆみの会、おれんじドア も~やっこなごや)
渡会裕美子(あゆみの会)
友村純子(あゆみの会)

 

 


第2回年次大会ホームページ

プログラム

インタラクティブ発表リスト・受賞者

 

※PLR…Personal Life Repositoryの略。詳しくはこちら(PDF)
※SIP… 「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期/ビッグデータ・AI を活用したサイバー空間基盤技術」(内閣府)

詳しくはこちら

当事者重視のワークショップを開催しました

8月7日(水)、吹上ホール(CareTEX名古屋2019)において、当事者重視のワークショップを開催しました。

第一部 対談セッション「自立共生支援AIへの期待と展望」
   小川 敬之(京都橘大学)
   鬼頭 史樹(名古屋市認知症相談支援センター)
   モデレータ:石川翔吾(静岡大学)

第二部 ワークショップ
   あゆみの会(名古屋市若年性認知症本人・家族交流会)
   モデレータ:小林 美亜(静岡大学)

午前の対談セッション「自立共生支援AIへの期待と展望」では、3人の登壇者から話題提供いただき、自立共生支援AIについて議論しました。モデレータの石川翔吾さんからはコミュニケーション分析に関する研究、小川敬之さんからは作業療法の視点から実例をまじえて、鬼頭史樹さんからは名古屋市若年性認知症本人・家族交流会(あゆみの会)の方々との活動で見えてきたことをご紹介いただきました。

午後のワークショップでは「お出かけ」をテーマに、冒頭では、あゆみの会の方々から今の生活について語っていただき、”少し先”の生活として、山田真由美さんがスマートスピーカーを活用する生活例のデモ映像を紹介しました。
(デモ映像は、第2回年次大会でも紹介します)
グループに分かれて、”朝起きてからお店に食べに行く”という目標を実現するまでに「何をする必要があるか」、普段何気なく行っている動作や手順を書き出しながら、「なにか難しいことがあるか」意見を出し合いました。そして、どんなAI・IoT、アプリ、機器などがあれば、解決したり目標を実現できるか、本人・家族・サポーターも含めて立場や専門を超えた「ごちゃまぜ」の意見交換がなされ、グループごとにまとめた内容がスクリーンにも表示されたことで、自立共生社会実現のために何ができるかを、参加者全員で共有することができました。

 

 

[告知] ワークショップ開催(CareTEX名古屋2019)

 

[9月7日(土)〜8日(日)]
第2回年次大会を開催します

第2回となる今年は、川崎市で開催します。
「みんなごちゃまぜで考えよう 〜ホントにできる?自立共生支援AIによるまちづくり〜」をテーマに、様々な当事者が参画することでインクルーシブ・イノベーションを創出し、自立共生支援AIで実現する立場・専門を越えた地域づくりをみんなで共有できるプログラムをご用意しました。

現在下記を募集しております。ご応募お待ちしております。
・ポスター発表
・企業・団体様の、広告・展示・協賛

皆様のご参加をお待ちしております。

■主催  一般社団法人みんなの認知症情報学会
■後援  川崎市、川崎商工会議所(予定)
■日時   2019年9月7日(土)・ 9月8日(日)
■会場   川崎商工会議所 KCCIホール (JR川崎駅 徒歩2分)
■参加費  8/25(日)まで事前申込価格が適用
詳細・参加申込みはこちら
→年次大会サイト https://cihcd.jp/2019/